一眼レフは露出設定を自分自身で自由に決めて撮影できるのが良いところ。フルオートで撮影するのは非常にもったいないです!
フルオートはカメラが適正の露出を勝手に決めて撮影するものなので、誰が撮っても同じ写真になってしまいます。個性が出せません。
せっかくの一眼レフを手にしたのなら撮影の表現の幅を広めるためにもフルオートを卒業してみてはどうですか?
ということで
- P:プログラムオート
- A:絞り優先オート
- S:シャッタースピード優先オート
- M:マニュアル
4種類ある露出モードを一つずつ解説していきます。
露出を決める3つの要素
写真の明るさを決める“露出”には3つの要素によって決まります。
- 絞り
- シャッタースピード
- ISO感度
この3つです。
絞り
絞りというのはレンズから光を取り込む通り道の広さです。絞りを絞ると光の通り道は狭くなるので写真は暗くなります。逆に絞りを開けると多く光を取り込むことができるので明るく撮影することができます。
F値 =「F3.5」や「F5.6」という表記をします。ちなみにF値の数字はレンズの性能に依存するので、レンズによって設定できるF値の範囲が決まっております。
俗に言う“大三元レンズ”と呼ばれるレンズはこの開放F値が2.8とズームレンズとしては非常に明るいレンズとなります。
F値が小さい(絞りを開ける)と背景がボケたフワッと写真が撮れ、F値を大きく(絞る)するとクッキリ締まりのある写真が撮れます。
- F値が小さい = 明るい = 背景がボケる
- F値が大きい = 暗い= はっきりくっきり
※F値が大きいと“はっきり写る”というのは絞りを絞った状態のことで「開放F値が5.6でF値が大きいからはっきり写る」ということではありません。
開放から絞るという意味ではっきりくっきり写るということです。
ちなみにほとんどのレンズでは絞り開放はレンズ本来の性能を引き出すことはできません。 数段絞って撮影することをクセ付けておきましょう。
シャッタースピード
イメージセンサーが露光する時間です。シャッタースピードが速ければ露光する時間が短いので暗くなり、シャッタースピードが遅いと露光時間が長くなるので明るくなります。「1/200秒」などの表記をします。
露光時間が長くなると残像が出やすくなるのでブレた写真になります。滝の流れを表現するときなんかはシャッタースピードを遅めにして撮影を行います。逆に動きが速いものをしっかり動きを止めたいときはシャッタースピードを速くします。
- 遅いシャッタースピード = 明るい = 残像が出る
- 速いシャッタースピード = 暗い = 動きを止める
ISO感度
イメージセンサーが光を受け止める感度のことです。ISO感度が高ければ高いほど暗い場所での撮影でも明るく撮影することができます。
屋内スポーツでは屋外に比べて暗い室内で、動きが速い被写体の撮影をすることになります。このような場面ではISO感度を上げることで速いシャッタースピードを設定したとしても、適正の露出を得ることができます。
しかしこれには副作用があり、ISO感度は上げすぎると写真にノイズ(画質がザラザラ)がのってしまいます。むやみにISO感度を上げるのではなく、その場の明るさから適したISO感度を設定してあげましょう。
目安としては、
晴天の屋外がISO100〜200、曇天ではISO400、室内はISO800〜1600みたいな感じです。
- ISO感度が高い = 明るい = ノイズが多い
- ISO感度が低い = 暗い = ノイズが少ない
以上の3つの要素で露出が決まります。
その点をふまえた上で4つの露出モードの説明に入ります。
P:プログラムオート
絞りとシャッタースピードをカメラが自動的に適正露出にしてくれるモード。
難しいことは考えず、お手軽スナップ写真などに便利かもしれませんね。とっさのシャッターチャンスでも露出ミスなく撮影できる露出モードです。
フルオートとの違いは、プログラムオートは絞りとシャッタースピードだけがオートなのでそれ以外のISO感度やホワイトバランス、フラッシュの有無は撮影者が決めます。
正直な所、僕は一切使わないモードです。 このモードを使うメリットがよく分からないんですが、シャッタースピードや絞りをまだ理解できていないフルオートを卒業したばかりの人が使うといいのかな?
- 絞り値:オート
- シャッタースピード:オート
A:絞り優先オート
自分が決めた絞り値によってカメラが適正露出になるようにシャッタースピードを自動的に決めてくれるモードです。
背景をボカした写真が撮りたいなら露出モードをこの「絞り優先オート」にすることで絞り値を小さく設定します。逆に広角レンズを使って景色をダイナミックに抑えたいときなんかは隅々までピントが合うように絞り値を大きく設定してパンフォーカスにします。
- 絞り値:マニュアル
- シャッタースピード:オート
1/250 f1.8 iso640
F値を開放(F1.8)だと、こんな感じで前後がボケて立体感がある写真が撮れます。
1/320 f11 iso160
絞り値を絞ることで背景のシンデレラ城と手前の街灯にもピントがあった撮影ができます。
S:シャッター優先オート
シャッタースピードを自分で設定しカメラが適正露出になるように絞り値を決めてくれるモードです。動きを止めたいスポーツ撮影や逆に滝の流れを表現するためにスローシャッターで撮影するときなど、シャッタースピードを固定させてたいシチュエーションで使います。
- 絞り値:オート
- シャッタースピード:マニュアル
1/1000 f7.1 ISO800
動きの速いキャラクターショーではシャッタースピードを速めに設定してブレがないように指先までしっかり動きを止めます。
1秒 f5.0 ISO500
手持ちの作例なのでよく見るとブレてしまっていますが、こんな感じでスローシャッターを切ることで光の残像を作ることができます。
M:マニュアル露出
絞り値、シャッタースピードを自分で決める露出モード。
カメラに勝手に露出を決められたくない時に使うものです。
(決してカッコつけようとしてマニュアル露出を使わないでください・・・。)
カメラがオートで決める適正露出はどうしても明るすぎるものを暗い方向へ、その逆の暗いものを明るい方向へ補正しようとする傾向にあります。
たとえばイルミネーションを撮影する場合、夜なので周りは暗いですがイルミネーションの光は自体は非常に明るいです。
カメラはこのイルミネーションの明るさにつられて「露出が明るすぎる」と判断してしまい、結果暗い写真となっていまします。これだと撮影者の意図した写真が撮ることができないので、自分ですべての露出を決めてあげる必要があるのでマニュアル露出で撮影をします。
ファインダー内に表示してある露出インジケーターを見ながら何度か試し撮影をして、露出確認をしながら設定を決めます。
- 絞り値:マニュアル
- シャッタースピード:マニュアル
1/40 f2.8 ISO3200
1/80 f4 ISO6400
マニュアルは上級者向けの難しい露出モードですが、ISO感度を感度自動制御にしておくとマニュアルで設定した絞り値とシャッタースピードからカメラが適正露出になるようにISO感度を決めてくるので、初心者の方でも簡単にマニュアルモードが扱えます。
- マニュアル + ISO感度自動制御
ですが、このISO感度の自動設定は注意が必要です。一眼レフの光学ファインダーは実際に写真を撮ってみないと撮影結果を確認することができません。(背面液晶でのライブビューなら確認できます)
知らず知らず過度な絞り値とシャッタースピードで撮影していると、ISO感度の範囲を超えて露出オーバーの写真を量産しているのを、撮影を終えた後で気づくという悲惨な状況なることがあるので、ファインダー内の露出インジケーターは常に気にするようにしておきましょう。
まとめ
ということで4種類ある露出モードの解説でした。
ちなみに僕は絞り優先オートで大半の撮影を行います。
絞り値ってボケ具合(被写界深度)以外でも細かいところでは収差や周辺減光など、画質に対して大きく左右する一番の要素なのでカメラ任せにはしたくないんですよね。ここは自分で設定したいところ。
シャッタースピードに関しては撮影の意図がない限りブレた写真は避けたいぐらいなので、ISO感度をいじりながらシャッタースピードをコントロールしています。
ニコン一眼レフではISO感度簡易設定をすると、右親指あたりのコマンドダイヤルでISO感度を簡単に設定することができるので非常に便利です。