カメラスペックで『有効画素数』というのを見かけたことがあると思うのですが、これは有効画素数が多ければ多いほど、きめ細かい高解像度の写真が撮れ、引き伸ばしてプリントするときに有利になります。
有効画素数が多いほど綺麗な写真が撮れるのかなぁー。と思いがちですが
実は違いまして
高画素イコール高画質というのは間違いです。
高画素であればあるほど、暗いシチュエーションでの高感度撮影ではノイズが乗りやすくなる傾向があって、その理由に画素ひとつひとつの面積が狭くなっちゃうからなんですよね。
ということでこのページで紹介するのは・・・。
- 高画素と高画質は違う点
- イメージセンサーが大きい方が画質が良くなる
- 必要最小限の画素数は?
この辺を順に解説していきます。
高画素イコール高画質ではない!
画素ひとつの面積が小さくなるので光を取り込む量が少なってしまいます。
デジタルカメラというものは光量が少くると電気的に出力を上げてできあがる写真を明るくするようにできているので、写真のザラザラノイズがのってしまい劣化します。
左が高画素で右が低画素のイメージ図を作ってみました。高画素は目が細かいのでひとつひとつの画素の面積が小さいのがわかりますよね。
売りに出されている多くの一眼レフやミラーレスではおよそ2,000万画素を超えるカメラが数多く、中には高画素モデルとして4,000万画素を超えるものあります。
Nikon デジタル一眼レフカメラ D850
ニコンD850は有効画素数4575万画素とぶっ飛びスペックなんですが、この理論からするとD850のような高画素カメラはダメということになってしまいますよね。
決してそういうことではありません。このような高画素カメラが活躍するのは一瞬のシャッターチャンスを狙う撮影ではなくて、ちゃんと三脚を据えて十分な光量の元(スタジオ撮影など)ブレがなく4,000万画素すべて隅々まで写し込めばこれに勝る写真は他のカメラには撮れません。
大きく引き伸ばしてプリントする広告ポスターではD850の高画素はとても有効です。
確かにキヤノンやニコンの最上位に位置するフラグシップカメラは約2,000万画素に抑えられています。
Nikon デジタル一眼レフカメラ D5 (CF-Type)
画素を抑えることで高感度が強くなるので暗くて撮影条件が悪い屋内スポーツでは大活躍します。高感度が強いのでシャッタースピードを速くすることができるので、ブレた失敗写真を極端に減らすことができます。
どういうとこで活躍するかというとスポーツの祭典オリンピックです。
屋内スポーツというのは思ったよりも暗い場所なんです。しかもスポーツは動きが速いので被写体をピタッと止めるためには高速シャッターが必要で、高速シャターを切るためにISO感度を上げるわけなんですが、ここで高感度に弱いカメラだとノイズがのり過ぎてしまい劣化してしまいます。
欲を言えば高画素で高感度に強いカメラが最強となんですが、そんな簡単にはいきません。
数字だけ見てみると4,000万画素のカメラはたいそう高解像度で高精細な写真が撮れそうだと思いがちですが、画素数だけでは決してカメラスペックを決めることはできないんですよね。
高画素カメラも低画素カメラも適材適所で、それぞれ活躍する土俵が違うということです。
高画素モデルは画素面積が小さいので取り込める光の量が少なくなり、結果的に写真にノイズがのりやすくなってしまう。
→高画素イコール高感度に弱い
画質を左右するのはイメージセンサー大きさにある
このページでいう『画質の良さ』の定義は光が少ない暗いシチュエーションでもノイズが無くすっきりとした写真ということで進めていきます。
とりあえず、抜けの良さとか空気感とか暗部がどうのこうのというのは、ひとまず置いといてください。
暗いところでもキレイに撮れるというのは高感度ノイズに強い、またはISO感度を高くしても画質の劣化が少ないということ。
ISO感度を高めることができるので高速なシャッタースピード切れる。ということはシャッターチャンスに強くなります。
この高感度の強さに直接関係してくるのが『イメージセンサーの大きさ』です。
理由は先ほども言いましたがイメージセンサーが大きいので画素面積が大きくなるからです。
高感度の強さはイメージセンサーサイズに強く依存しており、フルサイズセンサーが高感度耐性に強いのは変わりありませんが、ひと回り小さなAPS-Cサイズのセンサーも十分な高感度耐性があります。
イメージセンサーサイズが異なるD750とD5600の高感度比較
Nikon デジタル一眼レフカメラ D750 24-120VR レンズキット AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR 付属 D750LK24-120
Nikon デジタル一眼レフカメラ D5600 AF-P 18-55 VR レンズキット ブラック D5600LKBK クリーニング クロス付き
ニコンD750とD5600は同じ2,400万画素のイメージセンサー。両カメラの違いはイメージセンサーの大きさにあり、D750はフルサイズ(FXフォーマット)という大きなセンサーを使っていて対するD5600はひと回り小さなAPS-Cサイズ(DXフォーマット)を使っています。
両カメラを比較してみたところ、フルサイズとAPS-Cサイズの高感度ノイズ耐性はそこまで差がないということがわかりました。
※ニコンではフルサイズをFXフォーマット、APS-CサイズをDXフォーマットと呼びます
FXフォーマットD750とDXフォーマットD5600で高感度ISO6400で比較してみました。RAWファイル撮って出しなのでノイズ除去など何も手を加えていない画像です。
パッと見た感じそこまで違いがなさそうに見えるので部分的に拡大してみてみましょう。
拡大してみると差がわかりますね。D5600のほうが若干ざらついたように見えます。
でもこうやって比較して分かったのが、フルサイズよりひと回り小さなAPS-Cサイズでもここまで高感度ノイズ耐性がフルサイズセンサーに迫ってきているということです。
フルサイズセンサーが高感度に強いということは変わりませんが、APS-Cサイズのカメラでも十分に強いんですね。
- フルサイズ(FXフォーマット)
- APS-Cサイズ(DXフォーマット)
- フォーサーズ(オリンパスのミラーレス)
- 1インチ(高級コンデジに多く使われている)
- iPhone(1/3.6型)
https://hechima-papa.com/2018-04-20-image-sensor/
画質を左右する高感度の強さはイメージセンサーの大きさに比例する。特にAPS-C以上のセンサーはとても大きいので高感度に強くオススメ!
一眼レフの画素数はどれぐらいあれば十分なのか?
では、どれぐらいの画素数があれば十分なのか解説する前に、あなたは写真を撮影した後どのようにして写真を見ますか?
パソコンで見るだけの人もいればSNSでシェアしたり、ブログに使ったり、はたまたちゃんとプリントする人もいます。
ということで、それぞれの必要な画素数をみていきましょう。
パソコンディズプレイ(1920×1080) | 約200万画素 |
4K ディズプレイ(3840×2160) | 約830万画素 |
iPhone6,7,8 (375×667) | 約25万画素 |
L判プリント(一般的な写真サイズ) | 約130万画素 |
A4サイズ | 約830万画素 |
当ブログの画像掲載サイズ(1024×683) | 約70万画素 |
こうしてみると、1,000万画素さえあれば十分なんですよね。
4,000万画素を超える画像をちゃんとプレビューできる媒体が限られているので、パソコンで写真を見たりL判プリントする程度だったら、2,400万画素のカメラでも十分すぎるほどの画素数があるということです。
まとめ
最後にまとめといきますが、高画素イコール高画質ではないということはおわかりいただけましたか?
高画素カメラはハマった時の高精細な破壊力は抜群ですが、高感度に弱くなってしまうのがデメリット。最近では画像処理エンジンの進化もあってノイズを上手に目立たなく処理していくれますが、RAW撮って出しのネイティブな画像はやはり画素数が少ないカメラの方がノイズが少ない感じがします。
画素数でスペックを見るのではなくイメージセンサーサイズをチェックしましょう。
- 高画素カメラは決して高画質とは限らない
- 画質に直結するのはイメージセンサーサイズにある
- 高画素カメラは高感度耐性に弱い傾向がある
- 高画素カメラはISO感度をあげることに躊躇してしまう、結果シャッタースピードが稼げない
- 2,400万画素で十分な画質が得られる
最後に僕が愛用している一眼レフを紹介。両カメラ2,400万画素でございます。