ニコンデジタル一眼レフには2つの異なるイメージセンサーサイズがあるのはご存じだと思います。
- FXフォーマット(フルサイズ)
- DXフォーマット(APS-Cサイズ)
ニコンFXフォーマットのレンズをDXフォーマットカメラで使用することはできますよね?
よく見かけるのはDXフォーマットの一眼レフに超望遠レンズを取り付けた組み合わせです。ニコンD500に超望遠単焦点レンズのような組み合わせ。
超望遠レンズにはDXフォーマット専用のレンズがラインナップされておらず、基本的に超望遠レンズはFXフォーマットに最適化されたレンズしか存在しません。
DXフォーマットのカメラにFXフォーマットのレンズという組み合わせをよく見かけるのですが、では、その逆のDXフォーマット専用レンズをFXフォーマットのカメラで使用することができるか?
答えはYESです。
そうやらキヤノンではAPS-Cサイズのレンズをフルサイズのカメラにセットすることは物理的に無理みたいなんですが、ニコンはDXフォーマットレンズをFXフォーマットカメラにセットすることができます。
ですがDXレンズをFXカメラに取り付けるのって、あんまりやらない組み合わせでおすすめできません。
ということでFXカメラにDXレンズはどんな弊害があるか解説していきます。
FXフォーマットのカメラでDXレンズを使わない理由
DXフォーマットレンズ | FXフォーマットレンズ | |
DXフォーマットカメラ | ◎使用できる | ◎使用できる |
FXフォーマットカメラ | ×推奨しない | ◎使用できる |
それぞれフォーマットの関係性を簡単な表にしてみましたが、DXフォーマットのレンズはFXフォーマットのカメラでの使用はあまりオススメしません。
なぜならDXフォーマットのレンズはDXフォーマットのイメージセンサーに最適化されたイメージサークルなのでFXフォーマットのイメージセンサーよりも一回り小さいからです。
この画はFXフォーマットのカメラでDXフォーマットのレンズを使って撮影した時のイメージ画ですが、こんな感じで画を写し出す円“イメージサークル”がひと回り小さいので十分に四隅まで写すことができません。
これがDXフォーマットのレンズがFXフォーマットのカメラでオススメしない理由です。
DXクロップで使用することになる
FXフォーマットのカメラにDXフォーマットのレンズを取り付けると『DXクロップ』という機能が働いて、四隅に写り込むいらない影を切り取って撮影することになります。
この『DXクロップ』で写し出す範囲というのがDXフォーマットと同じサイズになるので、FXフォーマットのイメージセンサーサイズをフルに使った撮影ができないということです。
結局はイメージセンサーの真ん中部分しか使っていないことになるので、切り取った端っこの画素を使わないの分、画素数が減り、解像度が低下します。
DXフォーマットの大きさははFXフォーマットの40%ほどしかありません。なので例えば2,400万画素カメラでDXクロップをすると、40%の960万画素まで減ってしまいます。
画素低下するならDXカメラ使った方が良くない?
クロップで画素数減ってしまうんだったらDXフォーマットのカメラ使って100%の画素を生かそうよって話になってしまいます。
「せっかくFXフォーマットの良いカメラ持ってんのにDXレンズ使うなんてもったいない」というのはこういうことなんです。
FXフォーマットのフルサイズイメージセンサーを全開に使って撮影するなら、FXフォーマットに対応したレンズを使うしかないのです。
『DXクロップ』機能ってそもそもDXフォーマットのレンズをFXフォーマットのカメラで使うための機能ではなく、もう少し望遠を伸ばしたい時に『DXクロップ』を使って焦点距離を1.5倍伸ばす機能なんです。
FXフォーマットのファインダーの広さを生かせない
ファインダー内に写る画の大きさ(倍率)はそのままで、DXクロップの範囲を示す囲み線が表示されるだけ。
FXフォーマットであるD750のファインダーって広くて見やすいんだけど、このDXクロップの範囲ってDXフォーマットのD5600のファインダー倍率よりも小さくなります。
ファインダー倍率の数字が大きければ大きいほど、ファインダーの中の画が大きくなります。
- D750(FXフォーマット)のファインダー倍率 … 約0.7倍
- D5600(DXフォーマット)のファインダー倍率 … 約0.82倍
D750とD5600のファインダーを比べてみると、ファインダーの広さはFXフォーマットであるD750の方が広いのですが、中に写る画の大きさはD5600の方が大きいことがわかります。
D750のファインダーにDXクロップとなると、結果D5600よりも狭くて小さいファインダーになってしまいます。
強いて言うDXレンズをFXカメラで使うメリット
イメージサークルの小さいDXフォーマットのレンズを使うと、FXフォーマットの大きなセンサーをフルに生かすことができないということで、あまり良いところが無い組み合わせです。
ですが、FXフォーマットのイメージセンサーは高感度に強い特徴があるので、高感度に強いFXフォーマットの強みを生かすことができます。
高感度に強くなる理由
DXフォーマットカメラD5600とFXフォーマットカメラD750を使って説明してみましょう。
D5600とD750はほぼ同じ2,400万画素を有するイメージセンサーを使っています。
お互いの違いはイメージセンサーの大きさ(フォーマット)です。
- D5600 … DXフォーマット(APS-Cサイズ)サイズが小さい
- D750 … FXフォーマット(フルサイズ)サイズが大きい
DXフォーマットであるD5600をDXフォーマットのレンズで撮影をすると、もちろんですが2,400万画素をフルで使って写真を撮ることができます。
対してFXフォーマットのD750にDXフォーマットのレンズだと、DXクロップで真ん中を切り取るので画素数40%の約960万画素になります。
- D5600にDXレンズ = 2,400万画素(画素100%)
- D750にDXレンズ = 960万画素(画素40%)
センサーの真ん中を切り取った40%分の約960万画素に減ってしまいますが、FXフォーマットは1画素あたりの面積が大きいので、そのぶん光を多く取り込むことができるので高感度に強くなるということです。
DXクロップで約40%まで画素数が減ってしまうが、FXフォーマットカメラの高感度の強さはそのまま引き継がれるということです。
D3000シリーズの先祖にあたるニコンD40(2006年発売)の画素数は約600万画素。この画素数でもL判プリントには事足りる画素数なんですよね。ということは2,400万画素からDXクロップで960万画素に減ったとしても十分だったりします。
まとめ
ということで、FXフォーマットのカメラにDXフォーマットのレンズを使うという行為は、FXフォーマットの高感度は生かせるが、画素数が40%に減りファインダーも小さく見づらくなる。
てか、DXフォーマットのレンズを持っていて高感度に強くなるからFXフォーマットのカメラ使うって理由は意味わからなくないですか?
だったらFXフォーマットのレンズを使えばいいじゃんってなりません?
どうしても使いたいDXフォーマットのレンズがあるならまだしも、そのようなレンズは僕が思うに存在しません。
FXフォーマットのレンズの方がスペック上ですべてのDXレンズを凌駕しております。
結論:DXフォーマットのレンズを使う利点はほどんど無いということになります。