失敗写真でよくあるのが逆光でのシチュエーション、被写体が影になり表情がわかりづらくなってしまった写真。
最近のカメラは測光性能が上がってきてはいるけども、逆光のような被写体よりも背景が明る場合は明るい背景につられてしまい、全体的に暗めの適正露出を導き出そうとしてしまいます。
こんな難しい逆光撮影でも、空は青く被写体は影にならず表情もちゃんと撮影できる方法があり、その中でフラッシュを使用したハイスピードシンクロ(日中シンクロ)で撮影する方法があります。
ハイスピードシンクロ機能を使えば、逆光でも被写体が影にならず思い通りの写真を撮ることができます。
フラッシュって暗い部屋で使うだけでなく、意外かもしれませんがカンカン照りの太陽の下でもガシガシ使う機材なんです。
▼僕が使っているスピードライトはニコンSB-700です。
逆光での撮影で失敗するワケ
逆光とは被写体の背後に光源があること。つまり被写体よりも背景が明るいシチュエーションです。室内撮影で窓をバックに撮影した時もそうですね、室内よりも窓の外の方が明るいので室内にいる被写体が影になってしいます。
逆光の失敗の原因は、カメラが計測した露出が明るい背景へ合わせようとする(写真を暗くしようとする)ので、背景よりも暗い被写体がもっと暗くなってしまい影で潰れてしまうからです。
- 背景が明るすぎる
- 被写体が影になって暗い
カメラは明るい背景の方に適正露出を合わせようとしてしまいます。暗い方向へ露出の値を導き出すので、影になった被写体が余計に暗くなってしまうのが原因。
被写体に合わせて露出設定をすると背景が白く飛んでしまう
では今度は被写体に露出を合わせるために『露出補正』をプラス方向へ補正してみます。
被写体は明るくなって適正な露出を得ることができましたが、背景が明るすぎて白く飛んでしまいます。
これではせっかくの青空が白く飛んでしまったり、背景が明るすぎるのでどこで撮影したのかわからない写真となってしまいますね。これも失敗です。
逆光はフラッシュを使って被写体と背景を同じ明るさにして撮影する
逆光撮影での失敗する大きな要因として、被写体と背景の明るさの差が大きいところにあります。どっちかに適正の露出を導き出しても被写体が暗くなったり背景が白く飛んでしまったりしてしまいます。
これを解決する方法としまして『被写体と背景の明るさを同じにする』方法があります。
背景に合わせた露出設定をしますが、このままだと被写体が暗くなってしまうのでフラッシュを使って暗くなった被写体を明るくします。
- 背景に合わせてシャッタースピードを速くする。
- 被写体が暗くなってしまうので、フラッシュを当てて被写体の影を消す。
こうすれば、背景&被写体ともに適正露出を得ることができます。
その時にハイスピードシンクロという機能を使ってフラッシュを焚きます。
ハイスピードシンクロとは
ハイスピードシンクロ、またはFPシンクロ、日中シンクロと呼び、フラッシュを焚きながらシャッタースピード1/250よりも速いシャッターを切ることができます。
ニコンD750の設定画面では『1/250秒(オートFP)』という項目です。
天気の良い十分な光源の下での屋外撮影では速いシャッタースピードは必須です。1/250秒よりも速いシャッターでないと簡単に露出オーバーが起こってしまいます。(写真が真っ白になってしまう)
ということで、この問題を解決してくれるのがフラッシュ使用時でも高速シャッターを切ることができるハイスピードシンクロなんですよね。
フラッシュ使用時は必然的にシャッタースピードが遅くなる
何も設定していない通常のフラッシュONの撮影時、カメラにもよりますがシャッタースピードは必然的に1/250より遅いスピードに抑えられてしまいます。
このままの遅いシャッタースピードのままだと、背景も明るすぎて露出オーバーを起こしてしまい、フラッシュ焚いているので被写体も白く飛んでしまいます。
なぜ、通常のフラッシュではシャッタースピードが1/250より遅いスピードの抑えられてしまうかというと、光っている間の“閃光時間”ってほんのごくわずかで、シャッター幕が開ききる全開のシャッタースピードでないと、シャッター幕の影が写真に写り込んでしまうからです。
一般的な一眼レフカメラは『フォーカルプレーンシャッター』を使っており、シャッター開口部が全開で、かつ最も速いシャッタースピードが1/250です。これより速いとシャッタースピードは全開にはなりません。
シャッタースピードが1/250より速くなるとシャッター幕がイメージセンサーにかかってしまうので、シャッターの影が写り込んでしまうんです。
ハイスピードシンクロを使えば高速シャッターが切れる
通常のフラッシュでは一瞬しか光らなかったのが、ハイスピードシンクロモードに切り替えると、シャッターが開いている間(イメージセンサーが露光している間)見た目は一瞬ですがフラッシュが連続して閃光し続けます。
そうすることで、高速なシャッターを切ってもイメージセンサーが露光している間は満遍なくフラッシュが閃光しているので、シャッターの影が写りこむことがなくなります。
ちなみにですがハイスピードシンクロはシャッターが開いている間、連続的に閃光し続けるので通常のフラッシュよりも光量が少なくなってしまいます。
- 通常のフラッシュ設定では必然的に1/250より遅いシャッタースピードとなる
- ハイスピードシンクロ機能を使えばフラッシュ使用時でも速いシャッターを切ることができる
ハイスピードシンクロを使えば絞り全開撮影も可能!
ピーカンの晴天下でも速いシャッタースピードが設定できるので、その分、絞りを開けることができ被写界深度の浅い背景がぼけた写真を撮ることができるようになります。
不思議ですよね。明るい屋外でしかも絞り開放なのにその上でフラッシュ焚くなんで、白飛び写真一直線な感じですがこれができちゃうんです。
- 絞りを全開にする。被写体も明るくなるし、もちろん背景も白飛びする
- シャッタースピードを1/4000のように超高速にする。背景は適正露出を得るが被写体が暗くなる
- 暗くなった被写体にフラッシュを当てて、適正露出を得る
とういうような手順で、ハイスピードシンクロ機能を使えば屋外でも絞りを開けて背景をぼかした写真が撮れるということなんですね。
これがハイスピードシンクロ機能が無いカメラや外付けスピードライトだと、シャッタースピードを速めることができず、絞りを絞ることしか適正露出を得ることができないので、被写界深度が深くなり背景をぼかした写真を撮ることができません。
ハイスピードシンクロに対応していないカメラ、スピードライトがあるので要確認
日中の屋外撮影で便利なハイスピードシンクロ機能ですが、カメラや外付けストロボの中にはこのハイスピードシンクロ機能が備わっていないストロボもあるので購入前に確認が必要です。
カメラ側はハイスピードシンクロに対応していてもスピードライト側が対応してなければできません。その逆もしかりで、カメラ側がハイスピードシンクロに同調できなければ、スピードライトを使ってもハイスピードシンクロを使うことができません。
カメラ側 対応 | スピードライト側 対応 | ハイスピードシンクロができる |
カメラ側 対応 | スピードライト側 非対応 | ハイスピードシンクロができない |
カメラ側 非対応 | スピードライト側 対応 | ハイスピードシンクロができない |
一眼レフとスピードライトの組み合わせ例
僕はニコンD750とD5600、スピードライトにSB-700とSB-300を使っているのですが、D750はハイスピードシンクロに対応しておりD5600はスピードライトをセットしてもハイスピードシンクロはできません。
カメラ、スピードライトともに対応していることで初めてハイスピードシンクロが使えます。
D750(対応) | SB-700(対応) | ハイスピードシンクロできる |
D750(対応) | SB-300(非対応) | ハイスピードシンクロできない |
D5600(非対応) | SB-700(対応) | ハイスピードシンクロできない |
D5600(非対応) | SB-300(非対応) | ハイスピードシンクロできない |
ニコンとキヤノンのハイスピードシンクロ対応について
●ニコン一眼レフカメラ、ハイスピードシンクロができないカメラ
致命的なのがエントリーカメラの部類に入るD5000シリーズおよび、D3000シリーズは外付けスピードライトを駆使してもシャッタスピードを1/200より速くすることができません。
●ニコン外付けスピードライト、ハイスピードシンクロ対応一覧
SB-5000 | 対応 |
---|---|
SB-700 | 対応 |
SB-500 | 対応 |
SB-300 | 非対応 |
1番下位に位置するスピードライトSB-300はハイスピードシンクロに非対応
外付けスピードライトの中にはこのようなハイスピードシンクロができないものもあるので購入前は必ず確認が必要です。
●キヤノン一眼レフカメラ、すべてのカメラにハイスピードシンクロが対応
すべての一眼レフカメラでEXシリーズスピードライトを使えばハイスピードシンクロができるようになります。
●キヤノン外付けスピードライト、ハイスピードシンクロ対応一覧
600EX II-RT | 対応 |
---|---|
470EX-AI | 対応 |
430EX III-RT | 対応 |
270EX II | 対応 |
キヤノン公式サイトを確認したところ、キヤノンのスピードライトはエントリーモデルである270EX IIでもハイスピードシンクロができるようです。
まとめ
今回は失敗しやすい逆光での撮影時、フラッシュを使用して撮影するテクニック『ハイスピードシンクロ』について書きました。
- 通常フラッシュ使用時はシャッタースピードが1/250より遅くなる
- ハイスピードシンクロでフラッシュを炊けば速いシャッターが切れる
- 逆光ではハイスピードシンクロが有効
- 外付けスロトボによってはハイスピードシンクロが使えないものがある
ちなみに僕が使っているのはニコンスピードライトSB-700です。もちろんハイスピードシンクロ対応でございます。
外付けスピードライトの電源はエネループがおすすめ!