ニコンのフルサイズミラーレスZ7とZ6が登場しました。
「値段の高い方であるニコンZ7の方が性能では上位カメラだろ!」 と決めてけているあなた。ちょっと待ってください。
確かにニコンZ7はZ6にくらべて約15万円も価格差があってどっからどう見ても「Z7の方が階級が上」って感じが否めませんが、両カメラの目立つ所での違いはイメージセンサーの画素の数です。
- ニコンZ7 … 4575万画素
- ニコンZ6 … 2450万画素
特にイメージセンサーはカメラ内部でとても大切なパーツで高価な物です。Z7は高画素で高性能のイメージセンサーが積まれているのでカメラの価格設定が高めではあります。
だからと言ってニコンZ7が上でニコンZ6が下という何が何でも大は小を兼ねる的な安直な考えで「ニコンZ7買おー」みたいなノリで買っては絶対に後悔してしまいます。
ニコンZ7の4500万画素って解像度は想像以上に恐ろしいモノなんです。生半可な気持ちで高画素機に手を出すと痛い目に遭います。
ということで、過去に高画素機ニコンD800を持て余してしまった苦い経験をもとに、ニコンZ7の高画素を余すことなく力を発揮させるなら、それ相応の機材と技術と覚悟がいることを今回はまとめてみました。
ニコンZ7は“気軽に撮影”では真価を発揮できない?
Nikon ミラーレス一眼 ニコン Z7 24-70+FTZマウントアダプターキット Z7LK24-70FTZKIT
気軽にカシャカシャ撮るようなスナップスタイルでは高画素機ニコンZ7の真価は発揮できないのでは? と僕は考えます。
高画素カメラで撮影された高精細な写真は目を見張るものであることは間違いありません。ですが、4500万画素オーバーの破壊力を発揮するには、画素一つ一つにしっかりと描写させる必要があります。
高画素になると気にしなくてはならないのが“手ブレ”
ほんのわずかな手ブレでも、画素一つ一つ隅々まで満足に描写させることができないので4500万画素の100%の力を無駄にしてしまいます。
ミラーレスなので一眼レフカメラ特有のミラーショックはないとしても、手持ち撮影では手ブレを完璧には抑えられません。
完全に手ブレを抑えるには、しっかりとした三脚を据えて撮影する必要があります。
気軽に撮影をしたいのに三脚のような荷物になるものなんか持ち歩きたくないですよね? スナップ的な撮影スタイルには高画素機Z7はもったいないということです。
ニコンZ7は高感度耐性を犠牲にする
圧倒的な解像力を武器とするニコンZ7ですがその反面、高感度に関しては少なからず犠牲を払っています。
デジタルカメラの高画素と高感度の関係は比例せず、画素が多ければ多いほど高感度耐性が弱くなる傾向にあります。
その理由は高画素あるがゆえ一つ一つの画素のサイズが小さくなるからです。
画素数が多い | 画素数が少ない |
同じ面積にそれぞれ画素数が違うイメージセンサーを比較してみると、画素一つ一つの面積が違うことがわかります。
画素のサイズが小さいので光を受け止める量が少ないので高感度ノイズに対する耐性が弱くなるなってしまいます。
4500万画素のFXフォーマットでは、2000万画素のDXフォーマットと同じぐらいの画素なサイズになります。
ニコンZ7 DXフォーマット時の解像度は5408×3600ピクセル(サイズL:19.5M)
イメージ的には2000万画素クラスのDXフォーマットのカメラと同等の高感度耐性と考えて下さい。
このクラスでは一眼レフカメラニコンD500があり、高感度耐性には良い評判がありますが、FXフォーマットはそんなもんじゃありません。本来ならもっと良いものなんです。
FXフォーマット2400万画素ニコンZ6の高感度テストに関する記事を見てると、ニコンZ6は非常に高感度耐性があるということがわかります。
ニコンZ7の解像力を余すことなく写しだすには、十分な露出のもとシャッタースピードに縛られないために三脚を据えて撮影することで高画素が発揮されます。
レタッチするならパソコンのスペックを要する
撮影後のレタッチにはもちろんパソコンが必要。画素数が多いと写真1枚当たりの容量もバカになりません。
これが一番困った。
昔ニコンD800を手にして、D800の吐き出す写真データが大きすぎて思うように処理ができず、結局オリジナルサイズでの撮影を諦めて画素数を落として撮影をしておりました。
これだとD800買った意味ないじゃん・・・。後悔極まりない。
では話を戻します。
ニコンZ7の1枚あたりの容量はJPEG Lサイズ FINE設定で約17.2MB。レタッチをよくされる方ならRAWファイル撮影をしますよね。非圧縮14bitRAW記録では1枚なんと約85.1MBにもなります。
これだけの大きなファイルを処理するためにパソコンのスペックもそれなりに必要になってきます。
僕はニコンD750(2432万画素)で撮影したものをLightroom6で編集したりまとめたりしていますが、愛用しているパソコンは2014年製のMacbookPro 13インチ。Corei 5のメモリ8GBですが2400万画素クラスのRAWファイルでさえプレビューにモタつきます。
これが画素数倍近くなる4500万画素のRAWファイルを満足いくレベルで扱うなら、パソコンも新しいものを新調しなくてはなりません。
Corei7でメモリは最低でも16GBバイト、ビデオカードもつけないとサクサクとはいかないでしょう。パソコンスペックもさることながら写真データを保存するためのハードディスク容量も大容量のもを準備する必要があります。
高画素のファイルを扱うにはそれ相応のパソコンスペックが必要ということも念頭に入れておかなくてはなりません。
そもそも4500万画素も何につかうの?
根本的なところですが「4500万画素も必要ですか?」といことです。
撮影した写真を最終的にどのような形にして出力するかによって必要な画素数がわかります。
パソコンのディスプレイ上で鑑賞するなら一般的なサイズである1920×1080は約200万画素あれば十分。話題の4Kディズプレイなら4倍の約800万画素。
紙にプリントするとしましょう。L版サイズで約130万画素、A4サイズなら約830万画素程度です。
パソコンディズプレイ(1920×1080) | 約200万画素 |
4K ディズプレイ(3840×2160) | 約830万画素 |
iPhone6,7,8 (375×667) | 約25万画素 |
L判プリント(一般的な写真サイズ) | 約130万画素 |
A4サイズ | 約830万画素 |
当ブログの画像掲載サイズ(1024×683) | 約70万画素 |
では4500万画素も必要なシチュエーションっていったい何なのか。
A1サイズまたはA0サイズといった、とても大きさサイズにプリントアウトするなら4500万画素が必要になってきます。
主に商業用の広告といった印刷前提での用途に適しているようです。
一般的な使い方では4500万画素は持て余してしまうってことですね、ニコンZ6の2400万画素でもぜんぜん多い方なのです。
高画素の利点。DXフォーマットで約2,000万画素は魅力的
ここまで高画素に対するネガティブな要素しか書いてきませんでしたが、ここで僕的に4500万画素にみる可能性を書いてみます。
ニコンZ7のDXクロップ時でも約2000万画素弱もあるというところに若干魅力を感じております。
先ほども書きましたが、2000万画素といえばニコンD500とほぼ同等なのでニコンZ7はDXクロップ(焦点距離1.5倍)したとしても大きく解像度を損なうことがありません。
キットレンズとして同封されている24-70レンズは望遠端が70mmと少々短いレンズですが、DXクロップで1.5倍の105mm相当画角でも撮影できます。
元々画素数が多いので、少々クロップしても十分な画素数が残っているんですよね。これは高画素カメラの特権です。
しかもミラーレスは電子ビューファインダーなのでDXクロップしてもファインダーの倍率が上がって拡大されます。一眼レフは光学ファインダーなのでクロップ時は“写る範囲がわかる枠”が表示されるだけでしたが、拡大表示のおかげで違和感がなくクロップ撮影ができるのも魅力的。
Z7にDXレンズという邪道な組み合わせではありますが、DXフォーマット専用レンズ資産も活かせるということですね。
まとめ
Nikon ミラーレス一眼 ニコン Z7 24-70+FTZマウントアダプターキット Z7LK24-70FTZKIT
ということで、高画素カメラニコンZ7に対する「購入するならそれ相応の覚悟が必要」という記事でした。
- 高画素を発揮するにはそれなりの撮影準備が大事
- 高画素は高感度に弱い傾向がある
- 高画素はパソコンスペックを要する
- 高画素が本当に必要なのか自問自答する
本当にあなたに4500万画素が必要なのかを考えてみてください。
4500万画素って大変な数字ですよ。100%発揮させるのにカメラの他にあらゆる機材や技術が必要ってことなんです。
しかもニコンZ7はZ6よりも15万円ほど高い。(2018年12月時点)
本当に4500万画素も必要ないのであれば、高感度に強く連射も速いZ6に行って差額でプラスレンズ購入された方が幸せになれますね。
てな感じで、過去にニコンD800を買って高画素を持て余して後悔した経験から書いた記事でした!
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