へちま(@hechima_papa)です。
写真の出来上がりの色を決めるホワイトバランスというものがありますが、ホワイトバランスとは「白いものを白く写す」のが目的。
人間の目はとても優秀でどんな光源の下でも「白いものは白く」見えるように脳が補完してくれて、そこまで意識することなく無意識に「白いものは白く」認識できるようになっています。
おなじ白い被写体でも光源によって色が違う
以下の雪の積もった写真を見てください。
どちらも同じ太陽光の下で撮影した写真ですが片方は直射日光での写真、片方は木陰で撮った写真です。
人間の目で見る雪は脳が勝手に「雪は白い」と認識させてくれますが、機械であるカメラは色を忠実にそのままを写してしまいます。
この雪の2枚の写真を見てわかるように直射日光での撮影よりも木陰での撮影では光が青くなる傾向にあります。
ホワイトバランスというのは木陰の条件下でも雪を白く撮影できるよう補ってくれる機能であります。
ホワイトバランスは「白いものを白く写す」が基本的な使い方ですが、それを逆手にとって色を思い通りにコントロールする「フィルター的な使い方」もできます。
今回はホワイトバランスを使って自分好みの色にするお話をしていきます。
ホワイトバランスをフィルターがわりに使って色をコントロール
ホワイトバランスは「白いものを白く」が基本的な機能。
ということは「白いものを白く」ではなく「青く」とカメラに認識させてやれば出来上がる写真は全体的に青っぽく仕上げることができます。
そこで知っておきたい知識に「色温度(ケルビン)」ていうのがあります。
光の色をしめす色温度(ケルビン)
色温度とは自然光である太陽から人工的な照明などの色をしめす尺度のこと。
単位は「K(ケルビン)」といい、電球はおよそ3000Kと色温度が低く赤色に対し日陰では8000Kを超えて光の色は青くなります。
色温度は高ければ高いほど青い光ということになります。
雪が青っぽく写る理由に色温度の高い日陰の光が雪を照らしているので、本来は白く写るはずの雪が青っぽく写ったということになります。
色温度とは光の色の尺度こと。
- 色温度が低いと赤い光
- 色温度が高いと青い光
単位は「K(ケルビン)」
ホワイトバランスの設定「電球で青く」「日陰で赤く」写す
次に実際にホワイトバランスを設定してみて写真の色をコントロールしてみます。
電球は色温度が低いので赤色の光、その逆で日陰は色温度が高いので青い光です。
カメラによってはホワイトバランスのマークが異なりますが、どのメーカーもたいてい似たホワイトバランスのプリセットがあるはずです。
「電球」は色温度が低いので赤い光。
ホワイトバランスを「電球」に設定すると色温度が低い赤い光を白く写そうとカメラが設定されるので、出来上がる写真は青系に仕上がります。
ということで電球の逆、ホワイトバランスを「日陰」に設定してみると赤みがかった暖色系の仕上がりになります。
日陰の青い光を基準の白とするので赤みが強調された写真となります。
青みの強い寒色系にしあげるのならホワイトバランスを「電球」、その逆で赤を強調し暖色系にするなら「日陰」にするということです。
- 電球 … 青っぽい(寒色系)
- 蛍光灯 … 紫系
- 晴天 … 昼間の太陽光での基本の色
- 曇天 … オレンジっぽい(暖色系)
- 日陰 … もっと赤く
ホワイトバランス「電球」
ホワイトバランス「蛍光灯」
ホワイトバランス「晴天」
ホワイトバランス「曇天」
ホワイトバランス「日陰」
寒色系にしたいなら「電球」 暖色系にしたいなら「日陰」といった感じで、ホワイトバランスの性質を利用して色をコントロールすることができます。
ホワイトバランスをフィルター代りに「色をコントロール」する
ホワイトバランスはの本来の昨日は「白を白く写す」ものでしたが、逆手にとって好みの色に仕上げる「フィルター」代りに使うこともできます。
セピアにノスタルジーにするなら「日陰」「曇天」
ホワイトバランスを「曇天」か「日陰」にすれば、赤みが足され懐かしさや暖かい雰囲気に仕上がります。
クールに寒色系なら「電球」
青みを足して寒色系にするならホワイトバランスを「電球」にしてみよう。
写真が一気にクールな印象に仕上がります。
こんな感じで暖色系なら曇天or日陰、寒色系なら電球。この2つを覚えておけばOKです。
ホワイトバランスオートでは夕焼けは見た目通りに写らない。赤みを足すには「日陰」or「曇天」が有効。
- 暖色系にするなら「曇天」「日陰」
- 寒色系にするなら「電球」
ホワイトバランスを“フィルター代り”に使って色の表現の幅を広げてみよう。
ホワイトバランスオートで十分だが注意が必要
最近のカメラはとても優秀なので普段の撮影では「ホワイトバランスオート」でも色を外すことはないでしょう。
ですが、優秀すぎるホワイトバランスはなにがなんでも「白を白く写す」忠実さゆえ、気を付けなければならないシーンがあります。
ホワイトバランスオートは夕日が赤く写らない
ホワイトバランスオートは極端に色が傾きそうなシーン(赤くなりすぎor青くなりすぎ)を白く補正しようとします。
夕日のシーンなど自然な赤みを撮影しようとしてもホワイトバランスの設定が「オート」だと、夕日の赤みを抑えてしまって結果的に目の前に写る夕焼けを写真にすることができません。
先ほど書きましたように、夕日の赤みを強調するならホワイトバランスを「日陰」設定するといいでしょう。
このように優秀なオート機能も便利ではありますが、ホワイトバランスと色温度を理解していれば思い通りの色に仕上げることができます。
ホワイトバランスオートは「緑」も苦手
ファインダーいっぱいに緑色の被写体をフレーミングすると、基準となる白色が無くカメラが緑のカーペットを白色にしようと勘違いしてしまいます。
こうなってしまうと実際の色と遠く離れてしまった写真になるので、ホワイトバランス設定をしてあげなくてはなりません。
ホワイトバランス「晴天」で撮影すると実際のカーペットの緑色に近づけることができました。
「晴天」に設定すると晴天の太陽光の元での白い被写体(例えば白いTシャツなど)が白く写るようになります。
色温度でいうところの約5000Kを白く写るようになる設定に固定してやることで、カーペットの緑にホワイトがつられることなく忠実に緑色が再現されます。
本来なら緑が濃いはずですがカメラが勘違いして木の葉っぱの緑が色あせてしまっています。
この場合も「晴天」に設定してホワイトバランスが狂うのを防ぎます。
ホワイトバランスの設定に自信がなければRAWファイルで撮影しておくとよいでしょう。
RAWファイルだとLightroomなどの現像ソフトで撮影後でも自由にホワイトバランスをいじることができます。
知っておきたい知識「RAWファイル」
写真のファイル形式には「JPEG」と「RAW」があります。初期設定でのファイル形式設定はJPEGになっていると思いますが、RAWとは「生のデータ」で撮影後のLightroom等の現像ソフトで調整の自由度がJPEGとくらべて大幅に広くなります。ホワイトバランスも後から変更し放題。ただし、RAWのファイル容量が大きいことと汎用性に欠けるので写真が見れないといった落とし穴もあるので注意。カメラに慣れてきてからRAWで撮ることをおすすめします。
ホワイトバランスまとめ
今回は「ホワイトバランスはフィルターがわりになる!? 色温度(ケルビン)で思い通りの色へ」について書きました。
ホワイトバランスは「白い被写体を白く写す」というのが本来の機能ですが、応用することで思い通りの色をコントロールできる機能でもあります。
覚えておきたいのは…寒色系にしたいなら「電球」 暖色系にしたいなら「日陰」
- 電球 … 青っぽい(寒色系)
- 蛍光灯 … 紫系
- 晴天 … 昼間の太陽光での基本の色
- 曇天 … オレンジっぽい(暖色系)
- 日陰 … もっと赤く
上記さえ理解しておればホワイトバランスで自在に色をあやつることができます!