- フルサイズとAPS-Cサイズって何が違うの?
- どのぐらいカメラの性能差があるの?
- APS-Cって高感度に弱いよね・・・。
一眼レフカメラやミラーレスカメラを物色していると目にするのが「フルサイズ」や「APS-Cサイズ」という言葉。
これはカメラに搭載されているイメージセンサー(撮像素子)の規格のことでフルサイズというのは昔から慣れ親しんだ35mmフィルムと同等の大きさ。もう一つのAPS-Cサイズというのがフルサイズよりもひと回り小さいなセンサーのことです。
今回はフルサイズ搭載カメラとAPS-C搭載カメラとでは何が変わってくるのか「フルサイズの性能の良さだけでカメラを選んでしまうと失敗するかも!」 などなど、カメラ購入前に知ってほしいそれぞれの特徴を紹介
- フルサイズはお金がかかる!
- APS-Cサイズも高感度に強くなっている
- 焦点距離と画角の関係「フルサイズ換算」
- フルサイズが「ボケた写真」が撮りやすい理由
フルサイズとAPS-Cサイズはセンサーサイズのこと
カメラスペックでよく目にする『フルサイズ』と『APS-Cサイズ』というのはイメージセンサーサイズの規格のこと。
イメージセンサーとはフィルムと同じ働きをするパーツでカメラの心臓部。レンズから入ってきた画を読みとるところです。
フルサイズセンサーの40%ほどのひと回り小さなAPS-Cサイズセンサーと、それよりも小さな『マイクロフォーサーズ』と言う規格もあります。
ニコンでは他メーカーと違った呼び方をしており、フルサイズをニコンでは『FXフォーマット』APS-Cサイズを『DXフォーマット』と呼んでいます。
- フルサイズ(ニコンFXフォーマット)
- APS-Cサイズ(ニコンDXフォーマット)
- フォーサーズ
イメージセンサーサイズの比較については「イメージセンサー大きさ比較 フルサイズ・APS-C・フォーサーズ・1インチ、どれだけ写りが違うの?」のページで詳しく書いてありますので参照ください。
一眼レフカメラを製造している2大メーカーとして有名なのが『キヤノン』と『ニコン』ですが、フルサイズとAPS-Cサイズの2つの規格で一眼レフを販売しております。マイクロフォーサーズはオリンパスやパナソニックのミラーレス規格なので、現在では一眼レフカメラでマイクロフォーサーズは製造しておりません。
センサーサイズ大きければいいってものじゃない フルサイズは金がかかる!
価格的にもフルサイズセンサーを搭載したカメラはAPS-Cセンサー搭載のカメラよりも価格が高く設定しているので、フルサイズの方が性能の面でも『上』という位置付けになっています。
確かにセンサーサイズが大きいフルサイズはAPS-Cとくらべて暗い場面でのザラザラしたノイズが出づらかったり、ダイナミックレンジが広かったり(明暗しっかり描写する)など、センサーの性能は格上です。
ですが、すべてにおいて性能を凌駕するフルサイズセンサーですがカメラやレンズの大型化やコストの面では不利になります。
まずイメージセンサーが大きいので、一眼レフカメラの中心部になるミラー(反射鏡)は大きなものが必要になります。それにともなってファインダーに結像するためのペンタプリズムも大きくなるので、フルサイズセンサー搭載の一眼レフは大きくて重たいのがほとんど。
そして、レンズもセンサー隅々まで描写できるイメージサークルが大きなフルサイズ用レンズが必要になるのでこれまたレンズの方も巨大化、コストアップにもなってしまいます。
左がフルサイズセンサーのニコンD750で右がAPS-CサイズのニコンD5600です。
左のカメラレンズの組み合わせが40万円に対して、左の組み合わせは8万円です。
両カメラ、ほぼ同じ画角が撮影できるカメラでございますが、見た目からして大きさがぜんぜん違いますよね。左のニコンD750はこれでもフルサイズ一眼レフの中では小型カメラな部類なんです。
重さもカメラレンズ込みで2倍以上違ってきます。
価格に関しては青天井でフルサイズ対応のレンズはウン十万を超えるレンズなんてザラ。
イメージセンサーサイズが大きいことに越したことはないですが、APS-Cサイズにも良さがあって、カメラレンズがコンパクトに収まることが最大の強みなんですよね。
フルサイズ一眼レフも最近では少しずつ小型化してきてはいますが、APS-Cサイズのカメラには到底かないません。パッとカメラを構えた感じ「軽い」と思っても、そのフルサイズカメラを1日中首からぶら下げて歩いてみると疲労の度合いが全ッ然違います。
「初心者のためのディズニーおすすめの一眼レフ・ミラーレスと交換レンズまとめ」ここでも書いていますが、カメラは軽いが正義です。
カメラを外に持ち出す機会が減ってしまうと、写真そのものが撮れなくなってしまいます。
そしてAPS-Cサイズ専用レンズの購入価格もフルサイズよりも安く済みます。
下手にフルサイズに手を出してしまうとフルサイズ対応のレンズが高すぎて満足にレンズを揃えることもできません。将来フルサイズに買い替えを考えているならフルサイズ対応レンズの購入は避けては通れませんが、APS-Cサイズだけしか考えていないのなら低コストで満足いくレンズラインナップを揃えることができます。
ということで、これからカメラ購入をする際「重いけど性能で選ぶフルサイズ」か「格下だけど軽いAPS-Cサイズ」にするか。その気になる明かりの少ない暗いシチュエーションでの『フルサイズとAPS-Cサイズの高感度の強さ』を深掘りしていきます。
フルサイズとAPS-Cの性能差はどのぐらいあるのか
APS-Cセンサーも高感度耐性が強くなってきている
両センサーの性能を比較して1番大きく差が出ると言われているのが『高感度の耐性』と言われていますが、近年の技術向上からAPS-Cサイズのセンサーも高感度に強くなってきており、フルサイズセンサーほどまではいかないが良いところまできています。
そもそもなぜフルサイズセンサーの方がAPS-Cセンサーとくらべて高感度に強いのかと言いますと、フルサイズセンサーはAPS-Cサイズよりも面積が広いく、そのぶん光の情報量を多く取り込めるので高感度でもノイズの少ない写真が撮れるということです。
10年ほど前ニコンD80(2006年製)を使っていた頃「日が沈む時間帯にはもう出番が無いってことでカメラをカバンにしまう」ほど昔のデジタル一眼レフは高感度に弱かったんです。ISO800を超えるともうノイズだらけでした。
今はDXフォーマットニコンD5600を使っておりますがISO3200でもいけますね。ブログに上げる写真ならそこまで大きくないのでISO6400でも余裕で使えます。ホント最近のAPS-Cサイズのカメラは非常に高感度に強くなりました。
実際にフルサイズとAPS-Cサイズの高感度ノイズ比較をしてみた
てことで、どれだけ高感度に強くなったかフルサイズのニコンD750とAPS-CサイズニコンD5600を何も手を加えていないRAW撮って出しのISO6400で撮りくらべてみました。
- ニコンD750 FXフォーマット(フルサイズ)
- ニコンD5600 DXフォーマット(APS-Cサイズ)
ニコンD750 ISO6400
ニコンD5600 ISO6400
同じ光源のもとD750、D5600ともにISO感度6400で撮影をしまいしたが、このサイズだと見分けがつかないですよね? どちらも高感度ノイズはそこまで出ておりません。
拡大してみてみましょう・・・
ニコンD750 ISO6400 拡大
ニコンD5600 ISO6400 拡大
どうでしょうか? よく見てみるとイメージセンサーが小さい方のD5600の方が若干ざらついて見えるようですが、そこまでフルサイズのアドバンテージを感じるほどではないですよね。
実際に手持ちのカメラでテスト比較してみましたがフルサイズとAPS-Cサイズの高感度耐性はそこまで差がないということがわかりますね。
確かにイメージセンサー面積の絶対値が違うのでフルサイズセンサーの方が高感度に強いことは変わりません。もう少し暗い状況でISO感度を1段上げた12800でテストすれば差が出てくると思いますが、そこまであげればいくらフルサイズでも高感度ノイズはできます。
こちらのディズニーシーの写真はニコンD5600と同じくDXフォーマットD7200で撮影したものなんです。夜の撮影もノイズが少なくキレイに撮れていますよね。
ついでに、もう1枚。同じくDXフォーマットのD7200で撮影しました。
ということで、フルサイズセンサーとAPS-Cサイズの両センサーは面積が違いますが、そこまで高感度耐性に差がないということがお分かりになったでしょうか?
APS-Cサイズは高感度ノイズが乗りやすいというイメージをお持ちなら、そんなに神経質にならないでください。「APS-Cサイズでも十分高感度に強い」ということです。
センサーサイズが異なると焦点距離と画角が違ってくる
ここで少々難しいお話になるのですが、イメージセンサーが異なると焦点距離と画角に違いが出てきます。
どういうことかと言いますと、たとえば焦点距離28mmのレンズを使ってフルサンズセンサー搭載のカメラとAPS-Cセンサー搭載のカメラとでは、撮影できる範囲が異なるということです。
ではこちらの画を見てください。
こちらの写真は焦点距離28mmのレンズを使ってフルサイズセンサー搭載ニコンD750で撮影した写真になりますが、そこに赤色と青色を着色してそれぞれのセンサーサイズで写る範囲をイメージした写真になります。表記がニコンのフォーマット表記で恐縮ですが。
- FXフォーマット = フルサイズ
- DXフォーマット = APS-Cサイズ
という、認識でOKです。
写真の赤く着色された部分は焦点距離28mmでフルサイズが写せる範囲ですが、真ん中の青く着色した部分は焦点距離28mmでAPS-Cサイズが写すことができる範囲となっています。
APS-Cサイズはフルサイズをトリミングしたように中心部分しか写すことができず、言い方を変えれば「望遠側にシフト」しているということです。
APS-Cサイズ専用のレンズはフルサイズ換算をして画角を知ることができる
この「望遠側にシフト」した画角がいったい焦点距離にしてどれぐらい相当の望遠側にシフトしたかを算出することができるのですが、この算出方法を『フルサイズ換算』と言います。
焦点距離28mmのレンズをAPS-Cサイズのカメラに装着した場合、撮影できる画角はフルサイズ換算で42mm相当なります。
レンズ焦点距離×1.5= フルサイズ相当の画角
※キヤノンの場合は×1.6
APS-Cサイズのカメラに焦点距離28mmのレンズを装着して撮影できる画角は、焦点距離42mm相当の画角の写真が撮れるというのが、フルサイズ換算をすることでわかります。
ニコンDXフォーマットD5600のレンズキットについてくるこちらの標準ズームレンズ。AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR の焦点距離は「18mmから55mm」となっておりますが、これを1.5倍のフルサインズ換算してみると・・・
27mm〜82.5mm相当の画角の画がこのレンズで撮影できることがわかります。
対して、FXフォーマット用の標準ズームレンズであるAF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VRはその名の通り24mm〜85mmの画角で撮影できます。
こうしてAPS-C専用レンズに表記されている焦点距離から、どのくらいの画角が撮影できるのかを知るためにフルサイズ換算が必要になってくるんですよね。
フルサイズは一眼レフならではの「ボケた写真」が撮りやすい
フルサイズカメラで撮った写真はボケやすいのは確かです。
その理由は先ほど「イメージセンサーサイズで焦点距離が変わってくる」の部分で通づる話なのですが、たとえば焦点距離50mmのレンズを使ってフルサイズのカメラで撮影すると、得られる画角はもちろん焦点距離50mmの画角になるのはわかりますよね?
ではAPS-Cサイズのカメラで、フルサイズ50mmと同じ画角になるよう撮影をするには何mm焦点距離が必要になるかというと・・・
フルサイズ50mm相当÷1.5=焦点距離33.3mm
※キヤノンの場合は×1.6
フルサイズ換算で計算してみるとフルサイズ50mm相当の画角をAPS-Cサイズのカメラで撮影するには焦点距離33.3mmぐらいのレンズが必要になります。
「ボケ」というのは、焦点距離が長ければ長いほどボケやすくなります。これに関しては「被写界深度」とググって調べてみてください。
被写界深度というのはピントが合う前後の範囲のことで、被写界深度が深いほどピントが合う範囲が広くボケが少ない写真になります。被写界深度が浅いとその逆です。
被写界深度は焦点距離と密接に関係していて
- 焦点距離が長い 被写界深度が浅いよくボケる
- 焦点距離が短い 被写界深度が深いボケにくい
ということなので、フルサイズ50mm相当の画角をAPS-Cサイズのカメラで撮るとなると、焦点距離が33.3mmぐらいの短いレンズになるので、フルサイズはAPS-Cサイズよりもボケた写真が撮りやすいってことになります。
フルサイズとAPS-Cサイズの違いまとめ
ザーッとですが簡単にフルサイズとAPS-Cサイズの違いを書いてみました。要点をまとめてみますと・・・
- フルサイズは機材が重くなるしレンズの値段がバカ高い
- APS-Cサイズはシステムを軽くできるしレンズが比較的安い
- 高感度に関してはそこまで神経質にならなくて良い。APS-Cも十分強い
- フルサイズ換算でAPS-Cレンズの画角を知ることができる(1.5倍する)
カメラ購入のアドバイスとして最後に一言。
まずはエントリークラスの小型のAPS-Cサイズの一眼レフカメラから写真を初めてみること。それでもカメラを外に持ち出すのが億劫だと思うなら一眼レフはあなたに合っていません。これより軽いカメラとなるとコンデジしかないので。
写真を撮ってみて一眼レフカメラにハマり、今後フルサイズにステップアップするなら最初に買った小型のAPS-Cサイズのカメラは絶対に手元に残しておきましょう。
小型のAPS-Cサイズカメラってのは大きなフルサイズカメラを使ってみて改めて良さを知るカメラで、ちょっとした撮影がメインでないシーンでも小型のAPS-Cカメラってすごく活躍してくれます。
あと、僕が勧める『理想の2台体制』ってのがありまして、最初に購入するエントリークラスのAPS-Cカメラを望遠担当にして、ステップアップであとから導入するフルサイズカメラを標準焦点域を担当すれば、お互いを食い合うことなく共存ができるんですよね。
- APS-Cサイズ 望遠担当カメラ
- フルサイズ 標準焦点域担当カメラ
この2台体制で撮影を挑めばレンズ交換をすることなく標準焦点域から望遠域にスムーズに対応できるのでとっさのシャッターチャンスを逃すことはありません。
まあ、一眼レフカメラを2台も首からぶら下げて外出ぐらい写真にハマればの話ですけどねw!
最後に僕が使用している異なるイメージセンサーサイズのカメラのリンクを貼っておきます。